相続税の申告・納付
相続税は原則、相続の開始を知った日から10ヶ月以内に申告しなければなりません。
また、原則として相続税の全額を現金で納付しなければいけません。
遅れると無申告加算税 や 延滞税等が課せられる場合がありますので、しっかりと理解しておきましょう。
相続税とは
相続税の基礎控除
相続税評価額の算出
では、相続税がどのように算出されるのか、どのように相続財産として評価されるのかを把握しましょう。
相続税申告に必要な書類
必要書類を一覧表にまとめてみましたので確認しておきましょう。
納税資金の準備
相続税額を下げることばかりに気をとられ、肝心の相続税を納付する資金がないと意味がありません。
延納と物納
そこでその際の対応も理解しておきましょう。
相続税の還付
相続税額は評価する税理士のスキルにより大きくことなります。
相続税の税務調査
申告して数年後に、相続税申告をした方の実に4分の1の人に対して税務調査が入ります。
さらに税務調査に入った件数の8割以上という高い確率で、修正が入り追加で税金を支払う必要があります。
相続についてのお尋ね
その書面に「相続についてのお尋ね」と記載されている場合は、注意が必要です。
相続税とは
全ての場合に相続税が発生するというわけではなく、基礎控除額を超える財産を相続する場合に発生します。

申告・納付には期限が定められており、どちらも「相続を開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」とされています。
この期限内に申告しなければ税務署から催促がきます。
それでも申告しなければ税務調査が入り、相続税とは別に重い延滞・加算税を加算されてしまいます。
しっかりと期限内に申告・納付ができるように専門家へ相談をしましょう。
生前に持っていなかった財産であったとしても、相続財産とみなされて相続税がかかります。
みなし財産としてよく取り扱われるものをまとめておりますので、ご確認ください。
遺産相続は税金の申告・納付を行ってはじめて終了します。
当事務所では相続税申告の経験豊富な税理士がアドバイスさせていただきます。
相続税に関するの無料相談も実施しておりますので、お気軽にご相談ください。
相続税の基礎控除
実際に納税が必要になるケースというのは100件中4件程度です。
基礎控除額というものが設定されており、「基礎控除額を超える財産」を受け継いだ人のみに相続税が発生します。
この基礎控除額は遺産を相続する人数で変わります。

基礎控除額の計算
3000万円+(600万円×法定相続人の数)=基礎控除額
ある家族で旦那様が亡くなられたケースでは、その「奥様」「子供3人」の計4人が法定相続人だとすると、
3000万円+(600万円×4)=5400万円
となり、5400万が控除額の上限となっております。
なお、法定相続人にカウントされるのは「相続放棄をした相続人」なども含まれます。
相続税を払わなければいけないのかどうか、上記の式を使って把握してみましょう。
当事務所では相続税申告の経験豊富な税理士が親身にアドバイスさせていただきます。
相続の無料相談も実施しておりますので、お気軽にご相談ください。
相続税評価額の算出
この計算は複雑で専門知識が要求されます。
相続税評価額の算出は、専門家である税理士にご相談されることをお勧めします。
財産評価の詳細は「財産評価基本通達」にありますが、以下にその主なものをご紹介致します。

市街地にある宅地
路線価(土地の形状による減額補正後)×宅地面積を土地の位置や形状により補正した額
路線価のついていない宅地
固定資産税評価額×所定の倍率
家屋
固定資産税評価額
上場株式証券
相続開始日終値、開始月・前月・前々月の終値平均のうち最も低い価額
非上場株式証券
事業内容が類似する上場企業の株価等を基にして評価する類似業種比準価額または相続税評価基準による純資産価額
普通預金・通常貯金 相続開始日の残高
定期預金 相続開始日の残高+相続開始日に解約した場合の利子額
死亡退職金
受取金額-非課税枠(500万円×法定相続人数)
生命保険金
受取金額-非課税枠(500万円×法定相続人数)
一般動産
調達価額(不明なものは新品小売価額-経過年数に応じた減価額)
自動車
調達価額または新品小売価額-経過年数に応じた減価額のいずれか
ゴルフ会員権
取引相場×70%
相続税申告・相続登記に必要な書類
プラスの財産に関連する書類
No. | 種類 | 必要書類 | 取得先 |
---|---|---|---|
1 | 土地 | 全部事項証明書(登記簿謄本) | 法務局 |
2 | 固定資産税評価証明書 | 市町村役場 | |
3 | 地積測量図又は公図の写し | 法務局 | |
4 | 実測図 | 自宅など | |
5 | 賃貸借契約書(貸地・借地の場合) | 自宅など | |
6 | 建物 | 全部事項証明書(登記簿謄本) | 法務局 |
7 | 固定資産税評価証明書 | 市町村役場 | |
8 | 間収り図 | 自宅など | |
9 | 賃貸借契約書(貸家の場合) | 自宅など | |
10 | 上場株式 | 株券コビー(表・裏) | 自宅など |
11 | 証券会社の預かり証明書 | 証券会社 | |
12 | 家族全員の最近5年間の取引明細 | 証券会社 | |
13 | 配当金通知書 | 自宅など | |
14 | 非上場休式 | 直前3期の法人税の申告書一式 | 発行法人 |
15 | 最近5年間の株主等名簿法人 | 発行法人 | |
16 | 法人所有の資産がある場合 各資産に関する必要書類 | 発行法人 | |
17 | 現預金 | 預金残高証明書 | 金融機関 |
18 | 既経過利息計算書(定期性預金の場合) | 金融機関 | |
19 | 被相続人の過去の通帳等コビー | 自宅など | |
20 | 家族全員の過去の通帳等コビー | 自宅など | |
21 | 電話加入権 | 電話番号と所在場所 | メモしてください |
22 | ゴルフ会員権 | 預託金証書又は株券のコビー | 自宅など |
23 | 生命保険金等 | 保険金支払い通知書 | 生命保険会社等 |
24 | 継続している生命保険の保険証書コビー | 自宅など | |
25 | 満期返戻金のある火災保険等の保険証書コビー | 自宅など | |
26 | 退職金 | 支払通知書 | 勤務先 |
27 | 貸付金 | 金銭消費貸借契約書及ひ残高のわかるものコビー | 自宅など |
28 | 書画骨董等 | 品名・作者名・写真等 | メモしてください |
29 | 家財 | 特記すべきものの明細 | メモしてください |
30 | その他の財産 | 未収入金等の場合は通知書など | 自宅など |
マイナスの財産に関連する書類
種類 | 必要書類 |
---|---|
借入金 | 金銭消費貸借契約書のコビー |
銀行等の残高証明書 | |
未払金 | 請求書・領収書(医療費・保険科・公共科金等) |
未納税金 | 課税通知書 |
納付書 | |
その他 | その他債務の明細 |
葬儀費用 | 諸経費控 |
領収書(お寺・心付け等領収書の無い場合は書き出して下さい) | |
香典帳等 |
相続人調査に関連する書類
No. | 必要書類 | 取得先 | 通数 |
---|---|---|---|
1 | 被相続人の生まれた時からお亡くなりになった時までの除籍謄本、改製原戸籍謄本など | 市区町村役場 | 各1通 |
2 | 被相続人の住民票の除票 | 市区町村役場 | 1通 |
3 | 相続人全員の戸籍謄本 | 市区町村役場 | 各1通 |
4 | 相続人全員の住民票 | 市区町村役場 | 各1通 |
5 | 相続人全員の印鑑証明書 | 市区町村役場 | 各1通 |
6 | 遺産分割協議書または遺言書 | 1通 | |
7 | 相続人全員の実印(逍産分割の場合) | ||
8 | 被相続人の略歴書(病歴・入院歴) | ||
9 | 被相続人の死亡診断書コビー | 病院 | 1通 |
10 | 各相続人の職業・自宅電話番号 |
その他
No. | 必要書類 |
---|---|
1 | 相続開始前3年以内の贈与の内容及ひ贈与税の申告書コビー |
2 | 相続開始前2年間の被相続人の所得税の確定申告書コビー |
3 | 準確定申告のために必要な資科(源泉徴収票・収入明細・領収書・保険等控除証明書) |
不動産の名義変更(相続登記)に関連する書類
No. | 必要書類 | 取得先 | 通数 |
---|---|---|---|
1 | 被相続人の生まれた時からお亡くなりになった時までの除籍謄本、改製原戸籍謄本など | 市区町村役場 | 各1通 |
2 | 被相続人の住民票の除票 | 市区町村役場 | 1通 |
3 | 相続人全員の戸籍謄本 | 市区町村役場 | 各1通 |
4 | 相続人全員の住民票 | 市区町村役場 | 各1通 |
5 | 相続人全員の印鑑証明書 | 市区町村役場 | 各1通 |
6 | 遺産分割協議書または遺言書 | 1通 | |
7 | 相続不動産に関する全部事項証明書(登記簿謄本) | 法務局 | 各1通 |
8 | 相続不動産に関する固定資産税評価証明書 | 市区町村役場 | 各1通 |
9 | 相続人全員の実印(遺産分割の場合) |
相続税の納税資金準備
相続税額を下げることばかりに気をとられ、肝心の相続税を納付する資金がないと意味がありません。
多額の現預金を残せる場合であれば問題ありませんが、そうでない場合には「物納用の土地を残す」「死亡退職金を使う」といった財源対策をしておくことが重要です。

相続が発生して10ヶ月以内に相続税の申告をしなければいけません。
いきなり多額の税金を納付しなければならないとなると、準備できる方というのは多くありません。
中には、大切な財産を手放さなければならないという方もいらっしゃいます。
そのようなことにならないためにも、相続税の節税だけでなく、納税資金の準備もしっかりと行っておきましょう。
納税資金の準備に関するご相談も受け付けております。
お気軽にお問い合わせください。
延納と物納
そして突然多額の相続税を支払わなければならなくなってしまったという場合も多いでしょう。
このように急に発生した相続税を一度に払えない場合には、延納や物納が認められます。

延納について
しかし、一時に納付することが困難な場合には一定の手続と条件のもと年賦延納が認められます。
延納には利子税を支払う必要があります。
延納の分割は原則として5年~20年の延納期間が認められています。
延納の条件
・相続税の納税額が10万円を超えている場合
金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。
延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること。
・延納申請書を相続税の納税期限までに税務署に提出した場合
延納の期間や利子税については、相続財産に何が含まれているか、担保として何を提供できたかによって異なります。
延納は分割で納付できるということで便利な方法ですが、長期間にわたって利子税がかかってしまうなどの負担もあります。
金融機関から借り入れをして一時に返してしまった方が利率が低いという場合もありますので検討が必要です。
物納について
物納とは金銭の代わりに、有価証券や不動産などの物で納める方法です。
物納できる財産は、何でもよいというものではなく国が管理処分するのに適したものでなければなりません。
以下の順番で物納の対象になります
第1順位 : 国債、地方債、不動産、船舶
第2順位 : 社債・株式などの有価証券
第3順位 : 動産
特定登録美術品は、上記順位にかかわらず物納に充てることができます。
物納する場合には、物納申請書を相続開始から10ヶ月以内に税務署に提出しなければなりません。
また、物納の手続後、一定期間内に限り物納を撤回して本来の金銭による納付に戻すこともできます。
相続税の還付方法
相続税額は評価する税理士のスキルにより大きくことなります。
特に土地評価に精通していない税理士が相続税額を評価した場合に、本来なら低く抑えられたにも関わらず、知識や経験が少ないことにより多額の相続税がかかってしまっているということが少なくありません。
特に、相続税は多くの税理士が年間1件対応するか否かという非常に少ない業務ですので、中には過去数回または一度も経験したことがないという方もいらっしゃいます。
なお、相続税の還付は申告から5年以内であれば手続きすることが可能です。

還付の例
相続税額 8000万円 – 相続税額 6000万円 = 2000万円!
つまり、2000万円も返ってくるということになります!
特に土地を多く保有している人ほど見直しをするメリットがあります。
気になる方は一度無料相談をご利用ください。
相続税の税務調査
申告して数年後に、相続税申告をした方の実に4分の1の人に対して税務調査が入ります。
さらに税務調査に入った件数の8割以上という高い確率で、修正が入り追加で税金を支払う必要があります。

税務調査の多くは事前に税務署から通知がきます。
相続税の申告を税理士に依頼している場合には、申告書への押印のある税理士へ事前に電話が入ることがほとんどです。
したがって、通常は申告を依頼した税理士に対応してもらえばいいのですが、中には税務調査の経験が浅い先生や相続税申告をほとんど行ったことのない先生がいらっしゃいます。
そのような先生のお世話になっている場合には、別の税理士に依頼されるというケースが最近では多くなってきています。
税理士の中には「税務調査は別の税理士に依頼してほしい」とい方までいらっしゃるようです。
当事務所では、税務調査のみのサポートにも対応しております。
相続税申告の経験も豊富ですので、まずはご相談ください。
相続についてのお尋ね
その書面に「相続についてのお尋ね」と記載されている場合は、注意が必要です。
「うちには相続税がかかるほど財産なんて無かった」と高を括っていると、のちのち高額な納税が発生する可能性があるからです。

●また、税務署は親族が亡くなったことをどうして知っているのでしょうか?
実は、税務署は亡くなった方(被相続人)とその親族に関する情報を比較的容易に調べることができるのです。
つまり、被相続人の職業情報や所有不動産などを簡易調査することで、税務署は相続財産をおおまかに把握していると考えられます。
「相続についてのお尋ね」が全ての相続人に送付されていないことを考えれば、この書面が送られてきた方は相続税が発生する可能性があるものとみて、専門家による財産調査を行うことをおすすめします。
実際、「うちには相続税がかかるほど財産なんて無かった」と高を括っていて、のちのち相続税だけでなく無申告加算税・延滞税までをも支払わなければならなかったという方は大勢いらっしゃいます。
「お尋ね」を無視するリスク
相続税の決定
「決定」とは、申告義務があるにも関わらず、それを怠っていた場合に、税務署が独自に調査して納税額を決定することを言います。
「決定」が行われた場合は各種優遇規定が適用できない場合が多く、想像以上に高額な相続税を納めなければならなくなる場合があります。
延滞税などの税金
相続税の申告期限は相続発生日から10ヶ月以内と定められていますが、この期限を過ぎてしまった場合は「無申告加算税」「延滞税」などのペナルティが課せられます。
また、無申告が故意であると見なされた場合は、最も重いペナルティである「重加算税」が課せられます。
以上のような無用なリスクを避けるためにも、税務署から「相続についてのお尋ね」が届いたら、まずは相続税を専門とする税理士に相談してみましょう。